by Richard Francis Walker, Ph.D., R.Ph.
12兆の細胞を覚醒させる
若がえりの最先端医学
ネオエイジング
骨自体の老化は非常にゆっくりと進行するため、その老化症状もお肌の変化など20年ほど遅れて出始めます。また、骨自体は体重の10~12%を占めるにも関わらず非常に硬い組織であり、細胞が集まって作られているようには見えません。そのため無機質なカルシウムだけで作られていると考える人も多いのです。
ところが、骨はカルシウムを主体としたミネラル成分に加え、骨芽細胞が分泌するコラーゲン線維によって作られた極めて生物学的な複合組織だったのです。
わかりやすく例えるなら、一度鉄筋コンクリートの建物を想像してみましょう。その構造を担っている鉄筋に相当するのが、骨芽細胞が分泌するコラーゲンという棒状のタンパク質線維です。その上で、そのすき間を埋めるコンクリートに相当するのがカルシウムであり、リン酸との反応によってハイドロキシアパタイトという結晶構造が作りだされています。
このように骨の強度を維持するにはコラーゲン線維が欠かせず、骨芽細胞によってめまぐるしく新しい線維への入れ替えが行われているのです。しかもコラーゲン線維は骨容積の25%ほどでありながら、重量比では50%もの量を占めています。その上で、骨全体がリモデリングという若がえり現象によって年間20~40%程度が新しく入れ替わり、頑丈な構造を維持しています。
ところが、加齢によって成長ホルモンが急速に減少し始めると、骨芽細胞を作っている細胞骨格のフィラメント線維も急速に老化し始めます。すると分泌されるコラーゲン線維の量も減少してしまい、リモデリングと呼ばれる新たな骨への置きかえが困難になってしまうのです。
ここでは骨全体のコラーゲン線維の含有量を計算してみましょう。
例えば50kgの女性なら骨重量はおよそ5~6kg。その重量のおよそ50%がコラーゲン線維だと考えると、骨全体では3kg近くのコラーゲン線維を含んでいると考えられます。
世の中にはコラーゲン線維を含有したサプリメントも多数販売されていますが、それらによって摂取できるコラーゲン線維の量は一日にせいぜい数グラム程度。それを考えると、いかに骨芽細胞が分泌する自前のコラーゲン線維の量が膨大であるかが分かるでしょう。
そのため、骨の若がえりには成長ホルモンによって細胞骨格の改善と再生を図り、このように膨大な量のコラーゲン線維を生みだしていくしか根本的な対策はないのです。
もし治療を行う場合は6ヶ月程度を目安にし、可能であれば骨密度の検査なども整形外科などで受けてみてください。