by Richard Francis Walker, Ph.D., R.Ph.
12兆の細胞を覚醒させる
若がえりの最先端医学
ネオエイジング
意外と見落としやすい老化性の変化に、皮下脂肪や内臓脂肪の蓄積による「肥満」があります。お肌の変化と同様、こうした老化性の肥満は20代中頃を過ぎるころから徐々に目立ち始めます。しかし、初めはパンと張ったその見た目も若さの象徴と思い込み、よほどでないと老化のせいだと気づく人は少ないかも知れません。
そこで肥満の目安に次のようなBMIというインデックス(指標)が用いられます。
BMI(インデックス)=体重(kg)÷{身長(m)×身長(m)}
ちなみに肥満とは単に体重が重い、軽いといっただけでなく、脂肪が過剰に蓄積した状態を指します。日本ではBMI値が22を標準体型、25以上で肥満と診断しています。しかしこれは生活習慣病(メタボ)のリスクが高まるとされた病的な基準。もし自分自身が比較的やせた体型の維持を望むのであれば、25歳を過ぎてBMIが21を越え始めたなら注意しておきましょう。
これは若さを維持する成長ホルモンの作用を考えればすぐ納得できるはず。
ヒトが新生児として生まれて以降、成熟体型に至るまで成長ホルモンが常に体を大きく育ててくれました。その間、食事で摂った栄養素(カロリー)のほとんどが細胞の成長へと充てられたのです。
そのため、この時期は摂取した栄養素も細胞を作るためのタンパク質合成に余すこと無く利用され、むしろ皮下脂肪を貯めておこうといったアクションは後回し。成長ホルモン自体が、余分な脂肪を燃やして新たなカロリーを作りだし(脂肪異化)、新たなタンパク質を作りだす(タンパク同化用)の役目を担っていたのです。
ところが、すっかり体も成熟すると成長ホルモンの分泌も次第に減少し始めます。すると次に行うのが老化に備えて栄養を蓄えようというアクションと、それに伴う皮下脂肪の蓄積だったのです。
このように、成長ホルモン分泌の低下によって太り始めたということは、まさに体が老化モードに入ったことを示すものでした。
老化モードに突入したなら、もし本気で若さを維持したければ食事量にも注意をはらいましょう。もはや成長期ほど、体はカロリーを必要としていないのです。もし、そうした状況を理解せずに今まで通り食べ続けたなら、過剰となった栄養素(カロリー)のほとんどが皮下脂肪へと転用されてしまうでしょう。
気がついた時には体は一回りも大きくなって、二の腕やお腹、太もも、お尻といった部分も「たぷたぷ」し始めた…、それでは全身で周りに向かって老化を宣言しているようなもの。
幸い、老化性変化の一つとしての肥満は、他の変化と比べて改善も容易です。2~3ヶ月程度、治療を試してみては如何でしょう。だからといって今まで通り自由に飲み食いするのは慎んだほうが良さそうです。まずは肥満が解消するまでおあずけとしておきましょう。