NEO AGINGby Richard Francis Walker, Ph.D., R.Ph.

12兆の細胞を覚醒させる
若がえりの最先端医学
ネオエイジング

老化に伴う筋肉・骨格系への
ネオエイジング対策

  • [筋力・筋肉量のグラフ]大腿四頭筋の断面CT写真
  • 筋横断面積(大腿四頭筋)

筋肉や骨格、関節に始まる老化の兆候

これらの部位の見ための老化は、顔などの変化よりやや遅れて始まります。
しかし、筋力のピーク年齢は男性で30歳頃。女性では20歳を過ぎた頃には早くもそのピークが訪れてしまいます。もちろん男女とも適度な運動によってなんとか40歳頃まではピーク時に近い筋力も維持できますが、それ以降の衰えはかなり急速だと思ったほうが良いでしょう。

いっぽう、体重のおよそ40%を占めるとされる骨格筋の重量も40歳代半ばには減り始め、50歳頃には多くの人で10%以上も減ってしまいます。しかも80歳以降になると、ほぼ全員が5割近い筋肉量を失ってしまうのです。

そのような状況ですから、不具合を訴えはじめる年齢も30歳代を過ぎれば当たり前。「とっさに動こうと思ったら、昔ほど敏しょうに体が反応しなかった」と嘆く人が増え始める頃です。

  • [筋力・筋肉量のグラフ]大腿四頭筋の断面CT写真
  • 筋横断面積(大腿四頭筋)

運動やエクササイズは急に始めない

もしこうした変化に気づき始めたら、まさに老化モードに入ったサイン。おそらく誰しも初めの頃は「少しウォーキングでも始めようか」、あるいは「食事量を減らして、何かスポーツやストレッチ体操でもやってみよう」といった工夫を考えるに違いありません。さらにはフィットネスジムに通って筋肉トレーニングなどに取り組む人も出始めます。しかし、こうした筋肉・骨格系へのエクササイズにも、注意しなければならない点が数多く潜んでいました。

例えば筋肉エクササイズにあたっては、年齢に応じた筋肉の特性も考えなければなりません。日頃あまり体を動かさない人が急に運動を始めると、時にひどい筋肉痛がでてしまうからです。ところが、以前は「乳酸という疲労物質が筋肉に溜まってしまうせい……」という誤った解釈もまかり通っていました。

むしろ近年の研究によると、筋肉痛の原因は老化した筋肉の特性によるものだと考えるようになりました。ふだんあまり体を動かさない人が急にエクササイズを始めると、老化した筋肉線維に多数の小さな損傷(キズ)が生じさせてしまうのです。しかもキズの修復に白血球が多数集まってしまい、かえって局所に強い炎症を生じさせてしまいます。その結果、生じた炎症が筋肉を包んでいた筋膜という組織にも影響を及ぼし、頑固な筋肉痛を誘発してしまったのです。運動直後には現れず、翌日以降になって症状が出てくるのも、そうした炎症の完成までに生じるタイムラグが原因でした。

[加齢による筋肉の変化]若年者の筋肉 速筋線維 遅筋線維 高齢者の筋肉 速筋線維 遅筋線維

筋肉の特徴も良く理解して

筋肉の細胞には他の臓器には見られない独特の特徴があります。それは筋肉の細胞骨格のほとんどがアクチンと、それに組み合わさるミオシンというタンパクによって作られているからです。しかも筋肉へのエネルギー供給は運動の種類によって異なり、ブドウ糖やミトコンドリアが作りだすエネルギー物質ATPへの理解も必要です。

そのため、筋肉の衰えを防ぐには適度な運動負荷やミトコンドリア機能の向上に加え、新たな筋線維(フィラメント)の補充と再生への手立てが欠かせません。そうした成長ホルモン分泌によって生じる効果が、他の臓器に比べてより一層重要になってくるからです。

もし自己流に中途半端な運動を行っているのなら、一度専門家に適切なエクササイズ・プログラムの策定を頼むのも一つの方法です。特に歳をとって一番に衰え始めるのが、速筋(そっきん)という瞬発力を発揮する筋線維です。しかもその筋線維が老化してしまうと何かにつまずいた際、とっさに体勢を立て直せずに転びやすくなってしまいます。

こうした場合、より細かい配慮によってエクササイズ・プログラムを提供する施設だと、そうした対処にとどまりません。より専門性の高い施設ではインナーマッスルという深部筋肉への対策を講じているところもあるからです。

[細胞骨格の蛍光顕微鏡写真]内部には多数のフィラメントが存在

充分な成長ホルモンの向上を図るのがコツ

筋肉の増強・維持を目的としたなら、治療当初から充分量の成長ホルモン分泌を図ることを推奨します。それによって得られる筋肉の増強効果は、治療を行わないケースに比べ肉眼的にも明らかなはず。特に瞬発力を発揮する速筋線維や、姿勢維持に重要なインナーマッスルにも効果的な増強が図れることでしょう。

ただし、治療に用いる薬剤は、日本においてもドーピング規定に抵触しうる医薬品であることを忘れないでください。そのため、現役のスポーツ選手でないことを大前提にこうした医療プログラムを利用されるよう、いま一度、事前の確認をお願いします。

[細胞骨格の蛍光顕微鏡写真]内部には多数のフィラメントが存在